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シャトー・メルシャン歳時記
2008 March
「『シャトー・メルシャン 甲州きいろ香&甲州グリ・ド・グリ』新ヴィンテージのリリースを前にして」 WINE MAKER 生駒 元
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4月に瓶詰めを控え、清澄の最終段階を迎えている2つの甲州ワイン「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香(か)」と「シャトー・メルシャン 甲州グリ・ド・グリ」。今回の歳時記では、このワインをメインに、新ヴィンテージに関する旬の情報をご紹介。併せて2007年のヴィンテージ(以下、「07ヴィンテージ」と表記)発表を記念して開催されているセミナー&テイスティングの模様もお届けしたい。
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『3月の中旬から、メディアや流通関係者向けに「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香&甲州グリ・ド・グリ」の新ヴィンテージ発表を記念したセミナーが行われていますが、ワイナリーでも3月に入ると連日その準備作業に追われました。セミナーで試飲していただくワインのサンプルボトル作成は、瓶詰めからラベリングまですべてが手作業です。セミナーは、東京を皮切りに全国の主要都市で開催されるので、試飲用ワインの瓶詰めも相当量にのぼりましたね。』








セミナー会場では、「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」と「シャトー・メルシャン 甲州グリ・ド・グリ」及び「シャトー・メルシャン 甲州シュール・リー」の新ヴィンテージに関する情報の公開とテイスティングが行われた。07ヴィンテージの味わいと新たな取り組みについては以下の通りである。

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『各ワインの07ヴィンテージに関してですが、まずは「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」について。昨年11月、メルマガ読者のみなさんにはすっかりお馴染み、ボルドー大学における香りの研究の権威である富永博士と我々醸造スタッフとで、毎年恒例となった育成中の「きいろ香」を利く機会を設けました。「きいろ香」仕込みをした各タンクからサンプルワインを出し、どれが「きいろ香」という製品のクオリティにふさわしいキュヴェ(原酒)であるか意見をぶつけ合い、アサンブラージュ(ブレンド)の割合などを決めたわけです。』







PHOTO『07ヴィンテージは、今タンクで清澄化させていますが、非常にいい状態であることを確認しています。グレープフルーツなどの柑橘系アロマの香りがふんだんにあり、酸のおだやかな丸い味わいとなっています。ぶどうは甲府市の玉諸(たまもろ)地区産が主ですが、ここはぶどうの早熟な地区として知られ、香りのプレカーサー(前駆体)が多く、タンニンが少ないといった「きいろ香」にとって最適な条件を備えており、そのポテンシャルを余すことなく引き出せました。』










07ヴィンテージの「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」は、昨年に引き続き、レギュラーボトル(750ml)に加えてマグナムボトル(1500ml)もリリースされるが、新たな取り組みも見られる。

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『「きいろ香」のマグナムボトルは、昨年が初のリリースでしたが、限定1000本ということもあり、発売を前に多数のご予約をいただきました。新ヴィンテージでの新たな取り組みとして、昨年のマグナムボトルとレギュラーボトルの中味は同じブレンドのワインでしたが、2年目を迎えた今年は違うワインとしました。そもそも、ワインの熟成がゆっくり進むこと、香りのプレカーサー(前駆体)も保持されやすいことがマグナムボトルの特質なのですが、新ヴィンテージでは、「きいろ香」仕込みのキュヴェの中でも、とりわけ「きいろ香」の特徴を表現しているものを単独で詰めました。新ヴィンテージのマグナムボトルには、そのキュヴェの発酵が行われたタンクナンバーを冠して「T718」というサブタイトルも付きます。レギュラーボトルとはまた違った味わいも、ぜひ体験していただきたいですね。』




「シャトー・メルシャン 甲州グリ・ド・グリ」および「シャトー・メルシャン 甲州シュール・リー」の2007年に関してもヴィンテージの個性がしっかりと表れている。「シャトー・メルシャン」の使命は、ワイン愛好家に日本オリジナルの醸造用ぶどう品種「甲州」の多様な美味しさをお届けすることである。

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『「シャトー・メルシャン 甲州グリ・ド・グリ」の新ヴィンテージは、06ヴィンテージで活かされた、ブルガリアン・ローズに喩えられる香りの物質、β(ベータ)-ダマセノンを抽出する造りを踏襲しました。この物質は、ぶどうの果皮に多く存在し、またプレス果汁に多く含まれることから、スキンコンタクトという醸造法を採用しています。甘美な香りがあるため甘口のワインを連想させますが、飲んでみると辛口タイプで、しっかりとした骨格とふくよかな厚みをお楽しみいただけます。』








『一方、「シャトー・メルシャン 甲州シュール・リー」の新ヴィンテージは、昨年より勝沼産の「甲州」を100%使用していることがまず特徴です。勝沼産の「甲州」と他の産地の「甲州」とを比べると明らかに違うんです。色が濃く、渋みが強い。ワインにするとポリフェノールが多く出てきて、骨格のしっかりした味わいになります。07ヴィンテージでは、ぶどうの産地を「勝沼」に限定したこと、「きいろ香」と同様、醸造中に酸化しないよう還元的な仕込みを徹底したことで、このワインに新たな個性が加わりました。華やいだトロピカルな香り、厚みのある味わいをお楽しみいただけると思います。今年よりネーミングとパッケージも一新し、5月には皆様にお届けしますのでぜひご期待ください。』




今号の締めくくりに、2004年から続く当社の「甲州アロマプロジェクト」にご参画いただいている、現ボルドー第二大学デュブルデュー研究室リサーチエンジニアの富永敬俊(とみなが たかとし)博士より、「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」の07ヴィンテージへのコメントを紹介したい。氏は「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」の生みの親の一人であり、ファーストヴィンテージより「きいろ香」の指標となる香りを、ワインとしての「甲州」の確固たる個性を、我々とともに追究してきた。


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『「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」のファーストヴィンテージから関わり、足掛け4年目を迎えました。07のヴィンテージには、07特有の、いままでとは違うメッセージを受け取ることができます。クオリティ的には、04のファーストヴィンテージに匹敵する、良いワインに仕上がりました。「きいろ香」というワインはもともと酸が高めで繊細な傾向にありますが、安定感が出てきましたね。厚みのある味わいといってもいいですが、アフターが中途半端に切れず、一定の余韻をもって綺麗に消えていく。香りでいうなら、「甲州」ならではのバラエタルアロマ・・・・「甲州」だけにしか存在しないアロマが垣間見えています。04はソーヴィニヨン・ブランに比較して、それに劣らぬ香りがありました。新ヴィンテージではグレープフルーツの香りが際立っていますが、それに加えて、ゴールデン・デリシャスといった皮が黄色いリンゴを割ったときのような新鮮な香りも楽しめます。』





『今回はレギュラーボトルとマグナムボトルでは、キユヴェがそれぞれ違います。レギュラーボトルでもかなりの品質をもっていますが、特筆すべきはマグナムボトル。香りのトップノートはこちらから探しにいかなくても、パッションフルーツやトロピカルフルーツの香りが爆発的に香ってくる。しかもマグナムボトルは、レギュラーボトルより酸度が高いにもかかわらず、口中はむしろまろやか。「甲州」もやっと、これくらいのクオリティの扉をたたくようになったかと思うと感慨深いですね。日本固有品種である「甲州」に対しては、やるべきことはたくさんあるし、さまざまなレシピを積み上げていくことが大事。まだまだやり甲斐はあるし、始まったばかりともいえます。(富永博士)』




07ヴィンテージの「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」のマグナムボトルのラベルには、富永博士の愛鳥「きいろ」が枝に留まり羽ばたこうとしている。その右上にはフランス語の一文“Au seuil d'un grand envol”が書かれている。この文は富永博士がこのワインに授けた言葉で「飛翔の門出に・・・」を意味する。甲州ワインの新たなステージの扉を叩く07ヴィンテージを期待せずにはいられない。





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