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シャトー・メルシャン歳時記
2008 April
「ボルドーで得た知見をこれからの『シャトー・メルシャン』に」WINEMAKER 鷹野 永一
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1988年にメルシャンの傘下に入ったフランス・ボルドーの「シャトー・レイソン」。ここで3年間、技術を研鑽し、この4月に帰国したワインメーカーの鷹野。今号の歳時記では、彼の現地での職務や渡仏前に醸造を統括した「シャトー・メルシャン」シリーズのその後の進化について、チーフ・ワインメーカーの味村とともに交わしたインプレッションをご紹介したい。


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『渡仏したのが2005年1月。前任の安蔵と入れ替わるかたちでボルドーに赴任しましたが、最初の半年はみっちり語学研修に励み、その後「シャトー・レイソン」での業務に着任しました。「シャトー・レイソン」は、ボルドー市とジロンド川が大西洋に注ぐ河口のほぼ中間に位置するヴェルトゥイユ村にあります。ぶどう畑は約70haと広大で、メドックの代表的なぶどう品種である「メルロー」と「カベルネ・ソーヴィニヨン」を栽培しており、畑ではぶどうを、シャトーでは醸造をといった具合に全般的にワインづくりを学びました。』







『渡仏前は、私は醸造担当ということもあり、年間を通して畑での作業に関与することはあまりありませんでした。けれども向こうでは、現地スタッフとして良いワインを造るために、すべてに全力投球をしなくてはいけない。ワインを仕込んで樽詰めが終わるとワイナリーでの作業は、定期的に澱引きをするくらいですから、それ以外の時間は畑に出ての作業です。畑ではぶどうの顔色や土壌をつぶさに観察し、その見方や接し方などをスタッフから学び取ることができました。収穫時期が近づくと、糖度ぶどうの成熟度調査をし、収穫時期を見極めますが、その判断についての知見も深めることができました。ワインの本場であるボルドーの畑での作業は私にとって夢でしたし、とにかく充実した3年間でしたね。』






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メルシャン勝沼ワイナリーがワインの本場であるフランスにスタッフを送り出してから今年で20周年を迎える。チーフ・ワインメーカーである味村がボルドー大学に留学しポリフェノールの研究に臨んだのが1988年。時を同じくして「シャトー・レイソン」がメルシャンの傘下に入って以来、代々当ワイナリーのスタッフが常駐し、銘醸地の醸造と栽培の技術を体得してきた。鷹野の後任として、現在、勝野が六代目として現地に赴任しているが、その使命は本場の優れたノウハウを日本にフィードバックすることにある。







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『「シャトー・レイソン」で3年働きましたが、やはり同じミレジムというのはなく、ぶどうを取り巻く気象状況はどの年も特徴的でした。常駐初年度の2005年は、グレートヴィンテージといわれ、気象条件に恵まれてぶどうの収穫が早かった。2006年はどちらかというと気温、日照条件、降雨量ともに平年並みのクラシカルな年でした。2007年はプリムールを通じていずれ評価は出てくるでしょうが、この年は畑で非常に苦労した年。ベト病に見舞われるなど、6月頃までぶどうは深刻な事態で推移しました。天気予報も当たらない。だから農薬を散布する計画が立てられない。その場その場で状況を判断し、臨機応変に対処するといった具合でしたね。ただ、いずれのミレジムも特異だったお陰で、醸造、栽培の双方で個人的にはかけがえのない経験を積むことができました。』





さて次は、メルシャン勝沼ワイナリーのワインメーカーとして鷹野が復帰する「シャトー・メルシャン」シリーズのワインについて。その進化・進歩に対する思いをチーフ・ワインメーカーの味村の声とともにお届けしたい。

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『鷹野は渡仏前の2004年に、醸造の統括をしていました。「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」のファーストヴィンテージは2004年。製品となるキュベを選ぶまでプロジェクトに携わっていましたが、瓶詰めしたのは翌2005年の2月なので、残念ながらデビューには立ち会っていません。結果として「甲州」の驚くべき潜在性を引き出し、センセーショナルな「甲州ワイン」が産み落とされたわけですが、その進化・進歩は彼自身の想像を超えていたようです。』(味村)









『「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香 2007」を利いてみて感じたのは、スタイルとして確立できたな、ということ。このワインは私が渡仏前に、すでにボルドー大学との連携など開発の体制が整えられていたので、確信を持って成長を期待できたのですが、ここまではっきりとカタチになったのですから驚きですね。柑橘系の豊かな香り、ドライだけど深いうま味が感じられて、最初から最後まで安心して飲めるワインだと思います。身内ながら、このワインを造った同僚が誇らしい。ワインとしてここまで進化して、自分としてはこの先はちょっと大変だなぁ、とも思いますが(笑)』(鷹野)


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「シャトー・メルシャン 甲州グリ・ド・グリ」のファーストヴィンテージは2003年。このヴィンテージは試験的な本数だったので、翌2004年が全国メジャー・デビューとなったのだが、鷹野は帰国してこのワインの進化にも感嘆の声をあげている。









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『「シャトー・メルシャン 甲州グリ・ド・グリ」の産みの親の一人として、2003年について、ここまで甲州を荒々しくしたスタイルは飲み手に受け入れてもらうのが難しいかな?、と思っていました。「シャトー・レイソン」から戻る頃には、ひょっとしたらもう造るのをやめているかも・・・とまで思ったこともありました。でも、ここまで飲み手により育まれ、造り手により洗練されたワインに成長したら、もうやめられませんよね(笑)。こういったカテゴリーのワインで納得のいくものがまだ世になかった頃に、自分としては「これぞ 甲州!!」と呼べるワインを造りたい、という思いが強くありました。その時イメージし、狙いたいと思ったのが、まさにこのワイン。2007年ヴィンテージの味わいも秀逸だと思います。』(鷹野)






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『これまで鷹野とは「シャトー・メルシャン」のブランドをともに築いてきましたし、何よりも気心の知れた仲間です。これからは「シャトー・レイソン」で培ってきた醸造と栽培のノウハウやスキルを大いに発揮してもらうことを期待していますし、彼と一緒に「シャトー・メルシャン」シリーズの新しい可能性を拓いていきたいと思います。』(味村)









余談だが、鷹野が在仏中、世界中の日本食ブームを映すかのように、ボルドー市内の日本食レストランも連日盛況で、その中でも「カフェ・ジャポネ」は鷹野との親交もあり、並みいるボルドー産のワインとともに「シャトー・メルシャン甲州シュール・リー」と「シャトー・メルシャン ジェイ・フィーヌ赤(J-fine)」がメニューにオンリストされている。メルマガ読者のみなさんもボルドー紀行の際は是非お立ち寄りいただき、日本食と日本発のワインのマリアージュを堪能していただくのも一興でしょう。



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